Vol.01 南種子町に伝わる赤米伝説
太古の昔、種子島の南「茎永(くきなが)」の地に玉依姫(たまよりひめ)という美しい女性が、馬の背に米を積んでやってきました。村の人々は玉依姫に従い、荒れ地を耕し田を作り、姫がもってきた米を栽培したのです。それまで狩猟によって日々の糧を得ていた村人たちは飢えから救われたのです。ところがある年のこと、日照りが続き田の水は枯れてしまい、村人たちは山の陰の池から水を引こうとしました。しかし、玉依姫は神の住む池の水を引くことに反対しました。村人たちはそれでも強引に池の水を引くことにし、池の淵まで溝を掘ったのです。すると、神の怒りか大きな地響きと共に池の水は血のように真っ赤に染まりました。玉依姫は村人たちに災いが来ぬよう、池に一人赴き消えてしまいました。すると、地響きもおさまり、空から大粒の雨が降り出し、村の田は救われたのです。村人たちはその池を「宝満の池」と名づけ、池の側に「宝満神社」を建て、身代わりとなった玉依姫を祭ったのです。そして、その後この地には赤い色をした「赤米」が穫れるようになったのです。
宝満神社
赤米伝説に登場した宝満神社では、毎年4月5日頃、その年の豊作を祈願して、赤米のお田植え祭りが古式豊かに行われています。始めにお田の森で神事を行い、次に田植え歌に合わせて赤米の苗が植えられます。そして、お田の森前の舟田(神田)で社人(シャニン)夫妻によるお田植え舞が奉納されます。最後に直会(ナオライ)が行われ、お田植え奉仕者全員に赤米を原料にした甘酒と赤米のにぎり飯やご馳走が振る舞われます。直会には、神様と一緒に会食をするといった意味があるようです。(南種子町役場ウェブサイトより抜粋)