Vol.03 麹菌の歴史
焼酎を造るのに欠かせない麹菌には、黒麹、白麹、黄麹の3種類があります。これらの違いはその名の通り、菌の胞子の色による違いですが、特性もそれぞれ異なり味わいも変わってきます。
麹菌のその歴史ですが、明治中期頃の焼酎は黄麹を用いて造られていました。しかしこの黄麹は温度に弱いため、温暖な気候の南九州ではもろみが腐敗しやすく、また焼酎の収得率が高くありませんでした。
そこで近代焼酎の父と呼ばれる河内源一郎氏が南九州よりも温暖な琉球・泡盛の黒麹に目をつけ研究を重ねた結果、明治43年、もろみの腐敗も防ぎ収得率も格段に向上させた黒麹菌を開発しました。それは泡盛黒麹菌と名付けられ、焼酎造りの主流となります。
さらに河内氏は大正13年に泡盛黒麹菌から新種の麹菌を発見し、河内菌白麹を開発しました。白麹は黒麹よりも収量が多く、甘口で味わいも軽快、品質も格段に向上した焼酎ができるようになりました。昭和50年代初めに広まった焼酎ブームはこの白麹が支えており、ほとんどの蔵元で使われていました。
その後河内源一郎商店二代目社長の山元氏がこの白麹菌から突然変異株を発見し、新種の黒麹菌培養に成功します。この黒麹菌がさらなる焼酎ブームに火をつけます。 現在では多様な黒麹仕込の焼酎が見られますが、それは白麹からの突然変異による発見が「クロ」ブームをもたらしました。